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千刻の設定-基本編

はじめに

千刻ユーザー様から何度か質問を頂く事があります。
「千刻の推奨設定値を教えて欲しい」という内容です。

他の自動売買システムは基本的にはパラメータが最適化されていて、
セットしたら後は放置しておけば収益を上げられるものです。
従いまして、開発者が推奨値をセッティングしてリリースします。
多くの場合、初期設定値が推奨になります。

しかしながら千刻は根本的に異なります。
テクニカル要素や時間の概念を使っておらず、確率の優位性など一切を無視し
ただ単純にグリッドトレードを行うためだけに設計開発されたEAです。

グリッドトレードそのものが手法・戦略として活用できる限り、
将来に渡って千刻は長く使い続けられるというメリットがありますが、
単純なグリッドトレードで悠久的に稼ぎ続ける設定というのは残念ながらありません。

さて、最初の問いである「千刻の推奨設定値を教えて欲しい」に戻ってみます。

グリッドトレードを運用しようとした場合
・仕掛ける通貨ペアは何か
・方向はどちらがいいか
・どのような運用をしたいか
・資金がどれくらいか
・取れるリスクはどの程度か
・FXに臨む姿勢はどのようなものか
・・・など、色々な要素があります。

どのようなグリッドトレードを行うか人それぞれ異なりますので
一概に「推奨値はこれ!というものはありません」。

そのため相場の状況・運用スタイルに適合した設定を自身で実施し
また相場状況が変わったら設定を変えたり、時には停止したりといった事が必要になります。
悪い表現をすると、千刻の成績の良し悪しは運用者次第であり、『収益性は運用者に一任したEA』なのです。

とは言いつつも、基本となる設定方法すら分からないと運用できないという問題がありますので、
今回は最もシンプルにグリッドトレードを行う設定について記載していきます。
 
 

通貨ペア 及び 売買方向を選定する

千刻は通貨ペアフリー対応で、売り買いや両建もフリーです。
従いまして、始めに行うのは通貨ペアを選定するところからです。
通貨ペア選定に際して注意すべき点を以下にあげました。

(1)急騰,急落など過熱している通貨ペアは控える
(2)マイナー通貨は控える
(3)マイナススワップが大きい方向への仕掛けは控える
(4)選定した通貨ペアで中長期トレンドと逆方向に仕掛けない

まず(1)の過熱相場となっている通貨ペアはそのあとの反動が怖いので避けた方がいいです。
(2)も情報量が少なく、トレンド転換するような大きなファンダメンタルに気付きが遅れる可能性が高くなります。
(3)は長期保有する可能性が高い手法であり、マイナススワップが重しになるのでオススメしません。

そして最も重要なのは(4)です。
グリッドトレードは中長期トレンドに逆行しなければ大なり小なり勝てる手法です。
間違っても値頃感だけで中長期トレンドの逆を行くような方向で仕掛けてはいけないです。

逆の表現をすると
(1)レンジ相場、もしくはノーマル程度のトレンドを形成している通貨ペアで
(2)メジャーどころの通貨ペアで
(3)プラススワップがついて
(4)トレンド相場に仕掛ける場合は順方向に仕掛ける
となります。

最近の相場でいうとEURUSDのレンジ相場や
EURJPYの売りトレンド相場あたりが相当すると考えます。
少し遡ると2015年はドル円なんかは非常にいいレンジ相場でした。

今回は例として豪ドル円を選定してみました。
2016年相場ではレンジを形成し(直近では下落気味か?)、
比較的メジャーで情報量の多い豪ドル円で、
買いであればプラススワップです。

それでは、実際に千刻の設定を見ていきます。
仕掛けたい通貨ペア(豪ドル円)をチャートに表示し、
千刻のEA「Sengoku」をチャートにドラッグします。

sengoku_set01
 
 
チャートにEAをドラッグするとパラメータの設定画面が開きます。
sengoku_set02
xMagicNOは他のEAと重複しないように設定(問題なければ初期値のまま)します。

xAllowSpreadは、許容するスプレッドです。
本設定値よりスプレッドが拡大している場合は新規注文を行いません。
初期値は-1(マイナス値はスプレッドを考慮しない)となっていますが、お好みによって設定します。

買で仕掛けたいのであれば xBuyOpenとxBuyCloseをTrueに設定し、
売で仕掛けたいのであれば xSellOpenとxSellCloseをTrueに設定します。
両建で仕掛けたいのであれば 双方ともに Trueを設定します。
(今回は買のみで仕掛けるケースで例示していきます。)
 
 

グリッドトレードを仕掛ける価格帯を決定する

次に決めないといけないのはグリッドトレードを仕掛ける価格帯 及び 撤退する価格帯です。
もちろん全価格帯に仕掛けるという考えもありますが、資金は有限ですので今回は仕掛ける価格帯も決めます。
仕掛ける価格帯は自分本位で決めるのではなく、なるべく節目になる価格を目安に決めるといいです。

最も分かりやすいのはサポートラインやレジスタンスラインではないでしょうか。
レンジ相場に仕掛けるのであれば水平線を引くといいかもしれません。
今回は豪ドル円(AUDJPY)の2016年高値・安値を参考に価格帯を決めてみました。
sengoku_set03
 
千刻の設定画面に移ります。
sengoku_set06
ポジションを取る上限価格をxBuyMaxPriceに設定します。
今回はレンジ上限よりやや下の85.5円としました。(塩漬け期間が長くなるのを嫌って)
ポジションを取る下限価格をxBuyMinPiriceに設定します。
今回はレンジ下限価格よりやや下の76.0円としました。

損切り撤退価格 xBuyLossCutPriceは75.0円としましたが、
この価格に到達すると全ポジションを損切りしEAを停止します。
自身で損切りする場合は十分に遠ざけた価格を設定をしてください。

また、レンジ相場の価格帯が変わった場合は、設定の見直しを考える必要があります。
 
 

注文間隔を決める

価格帯を決めたら次に決めるのは注文間隔とロットになるのですが、
これを決めるにあたって先に決めるものがあります。
それは許容する損失額です。

グリッドトレードの場合、トレンド逆行するとあっという間に含み損が膨れます。
含み損は逆行したPipsに対し指数関数で増えますので、
許容できる損失を決めておかないと大変なことになります。
きちんと許容できる損失額を予め決めておき、先ほど定めた「仕掛ける価格帯」から注文間隔を割り出します。

許容する損失の決め方は人それぞれかと思いますが、
投資資金に対して○○%を許容する・・・といった形で決めるといいかと思います。
例えば投資資金100万で20%を許容すると仮定すると20万円となります。
 
許容する損失を決めたら、含み損の算出式を使って注文間隔を逆算します。

含み損は平均建値からの逆行Pips に 合計ロットを掛けて求めることができます。
平均建値からの逆行Pipsは逆行Pipsの半分となります。
詳細はグリッドトレードの含み損の増え方を参照ください。
20160213_1

今回のケースでは、85.5円から76.0円と約10円の幅でグリッドトレードを仕掛けるようにしています。
逆行Pipsは85.50円から75.00円に下落したときの約1000Pipsとなり(計算が楽なように端数を切ってます)、
平均建値からの逆行Pipsは5円(500Pips)となります。
sengoku_set17

5円下落に対して損失20万円に抑えるためには合計40000通貨までとなります。

1000通貨で仕掛けるならポジション数は40となるため、
10円幅にグリッドトレードを仕掛けるなら注文間隔は1000Pips ÷ 40 = 25Pips となります。
2000通貨で仕掛けるなら20ポジションとなるため、
注文間隔は1000Pips ÷ 20 = 50Pips となります。
これが注文間隔とロットの決め方です。
 
千刻の設定画面に移ります。
sengoku_set07
注文間隔をxBuyIntervalPipsに設定します。
今回は1000通貨とするため注文間隔は25と入力します(25Pipsは25銭と同義です)。

(参考)
注文間隔とロットに関してはどちらもリスクを決定するファクターです。
注文間隔とロットで同程度のリスクを取ったときにどちらがリターンが多くなるか、
以前に検証した記事を載せておきますので興味のある方は参照してみてください。
どちらが利益が出る?注文間隔とロットの関係
 
 

実質レバレッジと余剰証拠金を確認する

ここまで決定したら念のため実質レバレッジも確認したほうがいいです。

10円(1000Pips)下落を25Pipsでナンピンしポジション数は40であり、合計で40000通貨となります。
豪ドル円 をざっくり80円としたら80×40000通貨 = 320万円相当の外貨保有となります。

投資資金が100万円で10円下落したときの含み損は20万円なので、
有効証拠金は80万円になっていることになります。
320万円相当の外貨保有に対し、80万円の有効証拠金なので
実質レバレッジは320万円/80万円の4倍となります。

余剰証拠金(有効証拠金-必要証拠金)も確認しましょう。
必要証拠金を国内FXの標準レバレッジ25倍で計算すると、320万円/25 の12.8万円となります。
有効証拠金80万円から必要証拠金12.8万円を引いて、余剰証拠金は67万円くらいでしょうか。

投資資金の20%を損失許容とし、10円幅で仕掛けるなら概ねこの程度に収まるという例です。
もしこれで実質レバレッジが高い、余剰証拠金が少ないと感じられるのであれば見直しを掛けてください。
 
 

利益幅を決める

次に決めるのは利益幅です。
基本的には先ほど決定した注文間隔以上に利益幅を設定する形になります。
注文間隔<=利益幅です。

千刻の設定画面に移ります。
利益幅をxBuyProfitPipsに設定します。
先の注文間隔と同値なら25です。
sengoku_set09

と、実はここで注意していただきたいことがあります。
現在、注文間隔と利益幅が同値の一体型のグリッドトレードサービスが一般に人気ですが、
グリッドトレードは注文間隔と利益幅は同値でなければならないということはありません。

何も考えずに注文間隔と同値の25Pipsとすると利益を取り損ねるケースが多くあります。
同じリスクを取るのであれば、より稼げる利益幅を設定してあげた方がいいのです。

より稼げる利益幅というのは、将来予測ができないと求めることはできませんが、
過去の相場から大方の目安を割り出すことは可能です。
ここはMT4である利点を生かし、ストラテジーテストで利益幅のベターな値を求めます。
(本手順は別記事で記載します)

2016年相場で利益幅だけを25Pipsから5Pipsずつ100Pipsまで広げた結果の一覧です。
sengoku_set10
豪ドル円は比較的広めの値幅が利益が大きくなる傾向となることがわかります。
注文間隔=利益幅とした25Pipsでは利益幅が小さすぎるのです(青枠)。
2016年の数か月だけで100USD(1万円強)も利益が少ないです。
今回は利益と回転数のバランスを見て75Pipsを採用します(赤枠)。

設定画面で「より稼げるための利益幅」に修正しましょう。
sengoku_set11
 
 

オプション等を設定する

最後にオプション等の設定をします。
今回は基本編ということでオプションの位置付けとなる機能はオフにします。
sengoku_set12
撤退するまではポジション個々に損切りが行われないよう損切幅 xBuyStoplossPipsは十分大きな値とします。
今回は上限価格(xBuyMaxPrice) ~下限価格(xBuyLossCutPrice) の値幅が10円ですので1,000pips以上の値です。

損切建て直しモード(xBuyReOpenMode )、逆指値注文モード(xBuyOpenStopMode)、
トレール決済モード(xBuyCloseTrailMode)はオフ(false)にします。
オフにした場合は関連設定は無効となるため、初期値のままで問題ありません。

これで基本的な設定は完了です。チャート上には主要パラメータが表示されます。
あとは設定した価格帯の中で相場が行ったり来たりを繰り返している間は確定利益を積み重ねてくれるようになります。
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尚、パラメータのxViewGridMode=Trueとするとチャート上に注文間隔が表現され、
どの程度のポジション密度になるか視覚的に捉えることも可能になっていますので、
相場の刻み方が自身のイメージと掛け離れていないか事前に確認することをオススメします。
(このモードは確認のためのものでxViewGridMode=Trueの場合は自動売買が行われません)
sengoku_set13 
 

まとめ

長々と記載してきましたが、最後にまとめます。
千刻を利用するにあたっては
1 通貨ペア 及び 売買方向を選定する
2 グリッドトレードを仕掛ける価格帯を決定する
3 注文間隔を決める
4 実質レバレッジと余剰証拠金を確認する
5 利益幅を決める
というプロセスで設定値を決めていきます。

そして千刻のようなグリッドトレードで重要なのは、『一旦決めたら終わり』ではない点です。
私自身もこれまでグリッドトレードを長く運用していますが、
想定している相場状況が変わったら追随する柔軟性が重要だと考えています。

千刻は、運用途中での変更や指標発表時などの一時的な設定変更、停止など柔軟に対応できるよう設計されていますので
必要に応じて『相場状況が変わったら(変わる可能性を感じたら)追随して設定を変える』ということを検討してください。

オプション設定を含めた仕様やパラメータの説明は以下アイコンをクリックした記事に記載しています。
基本運用が行えるようになったら試行錯誤しながら自身のスタイルに適合させてみてください。
sengoku_log2

(注意)
今回例として豪ドル円(AUDJPY)を取り上げましたが、豪ドル円を推奨している訳ではありません。
また、計算値などわかりやすくするために端数を落とすなど、運用に差し支えない程度に簡単にしています。
 
 

参考記事

今回の記事に関して参考となる過去記事のリンクを以下にまとめました。

グリッドトレードとは
グリッドトレードの含み損の増え方
どちらが利益が出る?注文間隔とロットの関係
 
 

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One thought on “千刻の設定-基本編

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