M2Jトラリピ訴訟に勝訴、それでもアドバンテージは戻らない

ブログなどでグリッドトレードを取り扱う以上、避けて通れないマネースクウェア社の特許権侵害控訴。
別の機会に記事を掲載するつもりではありますが少しだけけ。

簡単な経緯

・２０１５年２月１９日
外為オンライン社の「サイクル注文」「iサイクル注文」を特許侵害で差し止めを求めて提訴

・２０１７年２月１０日
東京地裁の第一審でマネースクウェア社の請求を全面棄却

２０１７年２月２４
マネースクウェア社敗訴後に間髪入れずに控訴

２０１７年１２月２１日
知的財産高等裁判所において第一審の判決が変更され、外為オンラインに「サイクル注文」差し止め

と簡単に経緯を表すと上記のようになります（追加提訴などは省略）。

勝訴といえど一部勝訴、影響は皆無か

勝訴と表現していますが、いわゆる一部勝訴です。
マネースクウェア社のメルマガには勝訴と表現されていましたが、今回それだけでは同社にアドバンテージは戻らないと思っています。

一方の敗訴した形の外為オンラインは大きな影響はないです。
といのも差し止めできたのは上記の通りサイクル注文だけであり、iサイクル注文は特許侵害していない主旨の判決だからです。

一部サービスが特許を侵害していたという心象的なマイナスはあるものの、
差し止めされるサイクル注文はすでにサービスを提供しておらず、
現在の顧客にはiサイクル注文を提供しており、利用者にとって実害が出ないのは非常に喜ばしいことです。

むしろ「iサイクル注文は特許侵害していない」と判決された方が外為オンラインにとっては大きかったのではないかと思っています。
知的財産高等裁判所という知的財産を専門に取り扱う機関において、「iサイクル注文はセーフ」とお墨付きをもらえたのですから。

個人的な感覚ではサイクル注文はトラリピ特許を侵害していると評されても仕方ないか・・・と思えるレベルでした。
iサイクルはレンジ追随があるだけで大した差があるわけではないのですが、知財高裁によって「iサイクル注文程度の違いがあればトラリピ特許の侵害ではない」という前例が築かれたということは、競合他社にとっても安心感広がるものではないでしょうか。

「私は」、トラリピ特許侵害の可能性としては新ループイフダンが怪しいと思っていました（仕組の点で判断して）。
外為オンラインが全面敗訴したら次はアイネット証券社だろうなと勝手に想像していましたので、アイネット証券社なんかは陰で安堵しているかもしれません。（※勝手な推測です）

あくまでも私個人の見解ですが、
外為オンライン社にとって
・イメージダウンは多少はあるにせよ、
・一部敗訴は顧客離れを引き起こすほどのインパクトはないであろう

他社にとって
・知財高裁の判決はiサイクル注文程度の違いがあれば特許侵害と見なさない前例が作られ
・同種の他サービスも特許侵害の可能性は低くなり安心感が広がった

マネースクウェア社にとって
・一部勝訴程度では外為オンラインのユーザーの呼び戻しには至らず、
・裁判費用の持ち出しも掛かるため他業者を提訴しづらくなった
・加え、個人情報流出により新規口座開設ができないM2Jは新規顧客が増えることなく今も顧客離れが進んでいる

グリッドトレードを行う手段は今となってはたくさんあり、トラリピ特許にすがっていい時代はとうに終わっています。

グリッドトレードサービスを提供する業者で今一番厳しいのはマネースクウェア社なのかもしれません。
パイオニアらしい戦略でサービス展望し、かつての勢いを取り戻して欲しいという思いも個人的にはあります。

千刻の特許侵害の可能性

気になる方がいらっしゃるかもしれないためついでに言及しておきます。
千刻が特許を侵害する可能性は現在のところありません。

仮にiサイクル、ループイフダン、トライオートすべてが特許侵害となるくらい特許権を拡大解釈してもです。
千刻はトラリピ特許を尊重するために、過去にゼロベースから作り直したものです。
ご利用者様においては安心してご利用を続けてください。

もし、グリッドトレード手法そのものを特許として保有されたら・・・そうなったら、、、諦めます。